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スープの石

「スープの石」という寓話があります。

ある村の女性の家を旅人が訪れ、「何か食べ物をいただけないか」と尋ねました。あいにく今は何もないと、女性は答えました。

旅人は、「ご心配いりません。このかばんの中に私はスープの石を持っています。これを熱湯に入れさえすれば、世界一美味しいスープが出来上がります」と言い、かばんから石を取り出しました。 女性は半信半疑で、大鍋を火にかけて湯を沸かし始めました。すると近所の人が沢山集まってきました。旅人は石をお湯の中に落して、お湯をスプーンですくって口に含みました。

「なかなかうまい。これにジャガイモが少し入ると上出来だ」

それを聞いた一人が家に戻り、ジャガイモを沢山持ってきて、鍋に放り込みました。
旅人は、また一口味見をして言いました。

「ああ、美味しい。これに肉が入ればもっと美味しくなる」

すると、別のおかみさんが肉を持ってきて、鍋の中に入れました。
こうしてそこにいた人々が、様々なものを持ち寄り、スープの中に入れました。中には、パンや果物、塩や胡椒を持ってきた人もいました。

旅人は、信じられないほど美味しいスープがなみなみと入ったお椀を配り、みんなでおしゃべりをし、みんなで作ったご馳走を味わいました。 その家には笑顔が溢れ、誰もがとても幸せな気持ちになりました。

人々が自分の持ってるものを持ち寄って一つの美味しいスープを作り出す。
理想的な人と人とのつながりを感じることができる寓話です。
この「スープの石」の寓話は、ポルトガルに伝わる民話が元となっており、ヨーロッパには似たような話がいくつかあります。「スープの石=スープ・ストーン」は、そのエピソードから協力を集めるための呼び水の比喩としても使われます

今、若い人達の間で、自分で何かを作ること、丁寧に作られたものを大切にする気持ちが強くなっています。日々の生活を大切に思う人達が、自分の大切なモノを持ち寄れる場所を作りたい。大切にされてきたモノに出会う場所を作りたい。

西小山は、歴史がある街です。人のぬくもりや温かさ、手触りの感覚が残っています。
長年この街に住んでいる方々も多いこの街に、若くて元気な人たちが集まり、新しい芽が生まれ、育っていく。Craft Village Nishikoyamaがそのきっかけになれば、と我々は考えています。

遊びに来てくれた人、お店を出してくれた人が、やがてこの街を気にいって暮らし始めたり、お店を出したり…。人と人の出会いや触れ合いに溢れ、やがてその輪が笑顔と共に広がっていく。

Craft Village Nishikoyamaは、西小山のスープストーンでありたい

それが我々の目指すところです。

※「スープの石」~『座右の寓話』戸田智弘著/ディスカバー・トゥエンティワンより

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